Firefox 53 アドオン互換性情報
Mozilla では Firefox 57 へ向けたロードマップ を投稿しています。もしまだ読んでいなければ目を通してみてください。Firefox 53 は重要なマイルストーンで、AMO で旧式アドオンの「新規」受付が停止され、マルチプロセス Firefox が初期設定で有効化され、WebExtensions API を経由しないアドオンからのバイナリアクセスが制限されます。
Firefox 53 は 4 月 18 日 [日本時間同日深夜] リリース となります。Firefox 53 の変更点でアドオンの互換性に影響を及ぼす可能性のあるものを以下にまとめました。Firefox 53 for Developers により詳しい情報が載っていますので、こちらも併せてご覧ください。
一般
- マルチパッケージ XPI への対応が廃止されました。これは完全テーマと拡張機能をひとつのパッケージにまとめているいくつかのアドオンでまだ使われていますが、他の旧式アドオン技術とともに削除されることとなりました。
file://
URL に別のコンテンツプロセスが使われるようになりました。これにより、_openURIInNewTab
の挙動が若干変わっています。-moz-calc()
への対応が廃止されました。dom-storage2-changed
通知がプライベートウィンドウで役に立たない問題が修正されました。これにより、プライベートウィンドウ向けに別のdom-private-storage2-changed
通知が追加されました。urlbarbindings.xml
から未使用のバインディングが削除されました。<splitmenu>
と<menuitem-tooltip>
が削除されています。type
ブラウザー属性の content とcontent-primary
の区別がなくなりました。type="content-primary"
はtype="content"
とまったく同じように動作するようになり、将来的に廃止されます。MimeTypeArray
が列挙不能な名前付きプロパティとなりました。PluginArray
とPlugin
が列挙不能な独自プロパティとなりました。
パスワードマネージャー
以下 3 つの変更は関連しており、アドオンが findSlotByName("")
を呼び出してマスターパスワードが設定されているかどうかを確認できなくなったことが主な影響として挙げられます。該当するコードの変更方法は こちら の例を見てください。
nsIPK11TokenDB.findTokenByName
の引数として空のトークン名を渡すことができなくなりました。nsIPKCS11Slot.status
の不必要な使用を置き換えるためnsIPK11Token.hasPassword
が導入されました。changepassword
内のトークン選択機能が廃止されました。
XPCOM とモジュール
- PSM インターフェイスから NSS 証明書ニックネーム API を使用できなくなりました。これにより、
nsIX509Cert
内の様々なメソッドに変更が加えられています:addCert
、addCertFromBase64
、findCertByNickname
、findEmailEncryptionCert
、findEmailSigningCert
- AddonManager API がコールバックとプロミスの両方に対応しました。これにより、
getInstallForURL
のコールバックが非同期で呼び出されるようになりました。 getURIForKeyword
API が廃止されました。代わりにPlacesUtils.keywords.fetch
を使ってください。nsIStyleSheetService::PreloadSheet
にServoStyleSheets
への対応が追加されました。これにより、preloadSheet
の戻り値が変わりましたが、それをaddSheet
へ渡していない限り影響はないはずです。
WebExtensions
- レコードの削除が暗号化されるようになりました。
storage.sync
API はまだ一般には使用できませんが、一部のプレリリース版ユーザーに使われている可能性があります。この変更により古い同期済みデータが失われます。
この一覧に載っていない変更点や間違いを見つけたらコメント欄でお知らせください。もしあなたのアドオンが Firefox 53 で動かなくなった場合は、筆者の方でも調査したいと思います。
AMO に登録されているアドオンの 自動互換性テストと対応バージョンの更新 は数週間以内に行われますので、AMO に Firefox 52 対応のアドオンを登録している方は後日メールをチェックしてみてください。