Firefox の新しいメモリツール
この記事は 2015 年 11 月 11 日にポストされた “Firefox’s New Memory Tool” の抄訳です。
Firefox Developer Edition 44 には、新しくメモリツールが追加されました。このツールを使うと、Web アプリケーションのメモリ使用状況について理解しやすくなります。特にリソースの制限の厳しいモバイル向けの Web サイトの開発者には有用でしょう。この強力なツールの使い方は、フリーランスのクリエイティブデザイナーであり、フランスの Mozilla コミュニティメンバーでもある Baptiste Kaenel の作成した動画をご覧ください:https://youtu.be/DJLoq5E5ww0
メモリツールはまずメモリのスナップショットをとります。その結果を様々な点でグループ分けし、ツリーや表形式で表示します。標準では “coarse type” でグルーピングしています。この設定では、メモリ上のものを次の 4 つに分類します。
- オブジェクト:JavaScript のオブジェクト。[[Class]] 名によって、より細かくグループ分けされます
- Scripts:Web アプリケーションによってロードされた JavaScript のソースコード。ここにはSpiderMonkey の JIT コンパイラである IonMonkey によって生成された実行可能なマシンコードも含まれます
- String:Web アプリケーションが使用する、JavaScript の文字列です
- その他:上記のいずれにも属さないものを表します
“coarse type” 以外には、”object class” と “internal type” でもグルーピング可能です。前者では JavaScript の [[Object]] クラスによってグルーピングを行い、後者ではそれらの C++ での型によって分類します。後者は特に Firefox のプラットフォーム開発を行う人にとって有用な機能でしょう。
また “allocation stack” というグルーピング方法も選べます。これはメモリパネルの上部にある「割り当てスタックを記録」にチェックを入れることで利用できます。これは割り当てスタックの記録を取ることによって、アプリケーションのパフォーマンスが低下するためです。その代わり、ヒープ領域上のものを JavaScript コード上の位置によってグループ化して確認できるようになります。他の設定とは異なり、JavaScript のソースコードとメモリ上の要素とを直接関連付けて確認できるようになります。
スナップショットはいくつも取ることができ、それぞれのスナップショットにはメモリの使用量が MB 単位で表示されます。これを見ることで、アプリケーションのメモリの使用量が時間に応じて増減する様子を確認できます。
メモリツールの詳細については、MDN のメモリツールのページをご覧ください。また私たちは皆さまからのフィードバックをおまちしています。ぜひ Firefox Developer Edition をダウンロードし、コメントを @FirefoxDevTools 宛ににツイートください。
Dan Callahan について
Mozilla の Developer Relation を担当するエンジニア。元 Mozilla Persona の開発者。
- Web サイト:dancallahan.info
- Twitter:@callahad
Nick Fitzgerald について
Firefox の開発ツールと JavaScript エンジンである SpiderMonkey を担当。ソースマップの仕様策定者の一人で、ブログ fitzgeraldnick.com を不定期に更新中。IRC では fitzgen でコンタクト可能。
- Web サイト:fitzgeraldnick.com
- Twitter:@fitzgen