ユーザ中心のオンラインプライバシーを加速させる Polaris イニシアチブを設立しました

Mozilla は、インターネット上の個人のプライバシーを「オプション」として扱うべきではない と信じています。私たちのプライバシー原則は、各製品やサービスを設計する際の指針となっています。LightBeam、Ghostery、Privacy Badger といった Firefox 向けアドオンの作成を可能にしているアドオンプラットフォーム、Do Not Track 設定、プライベートブラウジング、ゲストブラウジング、Firefox Sync の高度な暗号化、アプリ許可設定の個別手法、さらには新しい「忘れる」ボタンに至るまで、Mozilla はプライバシーに焦点を当てた機能をデスクトップとモバイルの双方で導入してきました。それでもまだ、さらに良いこと、より多くのことをする必要があると考えています。透明性とコントロールをもたらす機能を通じてユーザが望む Web 体験を提供したい、また、ユーザに Mozilla と Web を信頼して欲しいと願っています。

2014 年 10 月、18 歳から 64 歳まで 7,000 人以上の成人を対象に、米国の調査会社 Harris Poll が Mozilla に代わって世界的なオンライン調査*を実施しました。およそ 4 分の 3 (74%) の回答者が、現在 Web 上にある自分たちの個人情報が 1 年前よりもプライベートではなくなっていると感じています。また、ほぼ同数の成人が、インターネット企業は自分たちについて知りすぎていると答えました。私たちはこうした懸念の解消に役立てるのではないかと考えました。

Mozilla は今日、Polaris という新たな戦略的イニシアチブを発表します。Polaris は、私たち独自のプライバシーに関する取り組みと、業界内の他のプライバシー先駆者をまとめる目的で設立されたプライバシーイニシアチブです。Polaris は、さらに多くのプライバシー機能を私たちの製品へ組み込むため、より効果的に、明確に、直接的に共同研究できるよう設計されています。私たちは、Web のためのプライバシー技術について、ユーザに焦点を合わせた実践的な革新を加速させ、ユーザの Web 体験においてより幅広いコントロール、知識、保護を提供したいと考えています。また、より一般のユーザに向けて提供することに特に焦点を当てたプライバシー機能の技術革新を進めたいと思います。

立ち上げには、Center for Democracy & Technology (CDT) と Tor プロジェクト が参加します。いずれも非営利法人で、Polaris プロジェクトに協力と助言と提供し、政策目標と一致させるために協力してくれます。これらのプロジェクトによる協力と援助は必要不可欠です。「CDT は、Polaris プログラムに関して Mozilla と協力し、ネット上の表現の自由を推進するために欠かせない、ネット検閲との戦いやオンライン匿名性の保護といった問題について助言できることを楽しみにしています」と、CDT の Justin Brookman 氏は述べています。これらの共同研究は、新しい革新的なプライバシー機能を一般向け製品に組み込むという、私たちが自ら課した目標に忠実であり続けるための責任を負わせるだけでなく、知識、焦点、意見に多様性が生まれ、一般の人たちにもたらす機能の改善につながるでしょう。

今日私たちは、Polaris の旗印の下、反検閲技術、匿名性、クロスサイト追跡防止に焦点を当てた 2 つの実験を発表します。まず、Tor プロジェクトが行っている Firefox への変更を Mozilla のエンジニアが評価し、Firefox 自体のプラットフォームコードベースに変更を加えることで Tor の動作がより高速で容易になるかどうかを判断します。Mozilla では、Tor ネットワークの応答性を高め、より多くのユーザが Tor へ参加できるよう、近日中に独自の大容量 中間リレー のホストも開始する予定です。「Tor プロジェクトは、Polaris プログラムの立ち上げパートナーとして Mozilla へ参加できることを嬉しく思います。プライバシー技術、オープンスタンダード、今後の製品に関する共同研究などで互いに協力できることを楽しみにしています」と、Tor プロジェクトの Andrew Lewman 氏は述べています。

2 つ目の実験 (Polaris 初となる製品内実験) は、ユーザの選択を尊重している広告主やコンテンツサイトに不利益をもたらすことなく、侵略的な追跡から逃れたいというユーザを保護する機能をどのようにしたら提供できるかを理解することを目指すものです。このプライバシーツールは今のところ Firefox の Nightly チャンネルでテスト中です。実験そのものは有望ですが、まだ本格的な機能とはなっていません。今後数か月にわたってユーザ体験とプラットフォーム動作のテストと改良を続け、一般向けリリース版へ追加する前にあらゆる関係者からフィードバックを集めるつもりです。

私たちは、プライバシーが単なるコンピュータ上の機能や、有効と無効を切り替えられるだけの設定にとどまらないと考えており、オンラインプライバシー発展のため Polaris で何ができるかを楽しみにしています。プロジェクトの詳細と参加方法は Wiki をご覧ください。

* 調査方法

本調査は、イギリス、フランス、スペイン、ドイツ、ブラジル、インド国内の成人 7,077 人 (18 歳から 64 歳まで) を対象に、2014 年 10 月 22 日から 29 日までの間、Mozilla の依頼を受けた Harris Poll 社によって、Global Omnibus 製品を通じオンラインで実施されました。年齢、性別、人種、教育、地域、収入別の回答者数は、実際の人口比率に合わせるため必要に応じて重み付けされています。また必要に応じ、このデータもオンライン成人人口の構成を反映させるために重み付けされています。重み付けの変数など詳しい調査方法については press@mozilla.com までお問い合わせください。

[これは Mozilla Privacy Blog の記事 Introducing Polaris Privacy Initiative to Accelerate User-focused Privacy Online の翻訳です]