Firefox 14 のアドオン互換性に関わる修正のまとめ
[これは Mozilla Add-ons Blog の記事 Add-on Compatibility for Firefox 14 の抄訳です]
Firefox 14 がベータ版になってしばらく経ってしまい、今回も予定より少し遅れての記事公開となりました。いつも通り、アドオンの互換性に影響を及ぼす可能性のある Firefox 14 の変更点をまとめました。Firefox 14 for Developers により詳しい情報が載っていますので、こちらも併せてご覧ください。
一般
- サイト識別情報のデザインが変更されます。サイト情報が大幅に見直されました。テーマ作者はこの点に注意し、必要な変更を行ってください。サイト情報が適切に表示されない場合、レビュー申請が却下されます。(参考: Mozilla Japan ブログ – Firefox のサイト識別情報のデザインが変わります)
- (新しい) ダウンロードパネルが実装されました (ただし現時点では無効化されています)。もうひとつ大きな見直しが行われました。こちらはダウンロードマネージャです。新しいコードは Firefox 14 に投入されていますが、まだ正式公開には時期尚早として、設定で非表示にされています。ダウンロードマネージャにオーバーレイしているテーマと拡張機能の作者はこの点に注意し、今後行われる変更を事前に確認してください。新しいパネルは Firefox 16 までは公開されない見込みです。この機能に関する最新情報は ステータスページ を見るのが良いでしょう。
- ツールバーボタンが規定の状態でボーダーなしになりました。もうひとつテーマに関する変更です。これは Windows 向けにツールバーボタンを用意している拡張機能の作者に影響します。自作拡張機能のボタンがどの状態でも適切に表示されるよう、必ずテストしてください。
- ナビゲーションツールバーに
tabsontop
属性が設定され、CSS セレクタが簡素化されました。テーマ作者には便利な機能かも知れません。 - HTML5 パーサを使用して
bookmarks.html
パース処理の再実装が行われました。これによりnsIPlacesImportExportService
からimportHTMLFromFile
とimportHTMLFromURI
が削除されました。BookmarkHTMLUtils
モジュール内の同等の機能で代用してください。 - Places 内の旧スタイルの GUID が非推奨化・削除されました。これに関してはしばらくの間 議論されており、影響を受けるすべての開発者に対して事前に通知を行いました。このため皆さんが後で驚くことにはならないと思います。もしあなたがこの機能について調べている最中で、ブックマーク・履歴サービスを使おうとしているのであれば気を付けてください。
- リダイレクトと読み込みエラーの処理が改善されました。Places に行われたもうひとつの変更です。履歴からエラーページと
redirectsMode
フラグが削除されました。 - サニタイズされたフラグメントパース結果のサニタイザフラグを取得できるようになりました。
nsIParserUtils
にparseFragment
メソッドが追加されました。nsIScriptableUnescapeHTML
の同等のメソッドよりこちらを使用することが推奨されます。 MozBlobBuilder
が非推奨になりました。MozBlobBuilder
とBlobBuilder
は廃止予定です。代わりにBlob
コンストラクタを使用してください。- 位置情報の住所が削除されました。位置情報データの
address
属性が削除されました。
XPCOM
nsILocalFile
とnsIFile
インタフェースが統合されました。nsILocalFile
は引き続き利用できますが、今後は後方互換性のためだけに残されます。拡張機能を Firefox 14 以前のバージョンに対応させない場合は、代わりにnsIFile
を使ってください。ImportHTMLFromFileToFolder
が削除されました。nsIPlacesImportExportService
から削除されました。nsIAccessible
のinnerHTML
メソッドが削除されました。このメソッドは常にその要素自体のinnerHTML
の値を返していました。このため、それ自体何の役割も果たしていませんでした。- 使い道のない
queryCommandText
/execCommandShowHelp
メソッドが削除されました。nsIDOMHTMLDocument
から削除されました。 getFaviconURLForPage
とgetFaviconDataForPage
が常にnsIFaviconDataCallback
を呼び出すようになりました。onFaviconDataAvailable
関数がonComplete
に改名され、挙動が若干変わりました。
新機能
- 変異イベント (mutation events) の代替機能が実装されました。これらは当初
moz
接頭辞付きで導入されましたが、今回 接頭辞が外されました。つまり、変異イベント を置き換える適切な方法が提供されたのです。それは DOM 変異オブザーバ と呼ばれるものです。ドキュメントはまだ少ししか書かれていません。なお、これらのオブザーバはページ内のイベント処理速度を極端に低下させるため、本当に必要な場合に限って使用してください。 - 拡張機能からツールバーカスタマイズウィンドウへのオーバーレイが簡単になりました。カスタマイズパネルに便利な ID がいくつか追加されました。
- JavaScript から Windows ショートカットを作成する機能が実装されました。これは Windows 限定ですが、間違いなく重宝するものでしょう。
この一覧に載っていない変更点や間違いを見つけたらコメント欄でお知らせください。もしあなたのアドオンが Firefox 14 で動かなくなった場合は、筆者の方でも調査したいと思います。
AMO では、Firefox 13 と互換性のあるアドオンについて、近日中に 自動互換性テストと対応バージョンの更新 を行います。