Firefox 8 の主な新機能を紹介します
9/27 には Firefox 7 のリリースが予定されていますが、同時に Firefox 8 の開発はベータチャンネルへと切り替わり、数日中に最初のベータ版が公開されます。ベータチャンネルでは基本的に安定性や互換性の修正が行われるのみで、新機能は追加されません。Firefox 8 のリリースは 11/08 を予定していますが、機能が確定するこのタイミングで、主な新機能と改良点を一足先にご紹介します。
Firefox 8 の特徴
Firefox 8 ではアドオンの管理機能が強化され、ユーザの確認なくアドオンがインストールされないようになります。パフォーマンス面では、メモリ使用量を引き続き削減すると共に、タブを多数使っていても起動時間を短くできるよう、タブを選択するまで読み込まない設定が追加されます。ユーザインターフェイス面では、タブのドラッグ時のアニメーションにより操作性を向上したり、デフォルトサイトアイコンを変更するなど、細部まで改善を続けています。
Web 開発者向けの機能としては、Web アプリケーション向けに HTML5 で定義されている <menu> 要素に対応し、Web サイト独自の右クリックメニューを定義できるようになります。insertAdjacentHTML() メソッドや、WebGL のクロスドメインテクスチャにも対応します。
Android 版ではマスターパスワードに対応し、安心してサイトのパスワードを記憶させられるようになりました。ホーム画面に Web サイトのショートカットを作成する機能も追加され、いつも見るサイトにワンタップでアクセスできるようになります。
ユーザ向けの新機能・改良点
アドオンの管理機能が強化されます
Firefox のアドオンはユーザ自身がインストールするものだけでなく、ユーザに確認することなく他のプログラムが Firefox にインストールするアドオンもあります。これらのアドオンには便利なものもありますが、実際にはユーザが必要としていないものや、時として重大なセキュリティ問題や、クラッシュやパフォーマンス低下の原因となることがあります。
アドオンに重大な問題が見つかった場合、Mozilla では速やかにブロックリストに入れて無効化したり、開発元に連絡を取って共に修正を行ったりしています。しかし、ユーザが必要としていないアドオンが確認なくインストールされるたことで問題を生じるのは望ましくないため、Firefox 8 からは外部プラグラムがアドオンをインストールする時にはユーザに確認するようになります。
ユーザの確認なくインストールされないよう、デフォルトでは無効化する設定になっています。
インストールされているアドオンの確認
Firefox 8 の初回起動時にはアドオンの有効・無効を確認する画面が表示されます。外部プログラムにより以前からインストールされているアドオンについてはこの画面でユーザに継続利用をするか確認されます。
外部プログラムによってインストールされたアドオンは、デフォルトでは無効化する設定になっています。
不要なアドオンは無効化することで、Firefox はより高速かつ安定して動作するようになります。使っていないアドオンは無効化してください。もちろん、必要になればいつでもアドオンマネージャで有効化できます。
タブを選択するまで読み込まない設定が追加されます
Firefox 6 からは再起動時に現在のタブグループのタブだけを読み込むことで、複数のタブグループで多数のタブを開いていても起動時間が長くならないようになりました。
Firefox 8 ではこれをさらに押し進め、再起動時には現在のタブだけを読み込む設定が追加されました。これは、人気のアドオン BarTab の機能を一部、Firefox の標準機能として取り込んだものです。
常に多数のタブを開いていて、再起動時にすべて読み込むまでの時間が長いと感じている方は、設定画面の「一般」タブで「タブが選択されるまでページを読み込まない」にチェックを入れてみてください。現在のタブだけを読み込むことで起動時間が短縮されます。
タブの並べ替えや分離の操作性を改善 (10/31 訂正)
Firefox ではタブをタブバー上でドラッグ&ドロップすることで並べ替えたり、タブバーの外にドロップすることで別ウィンドウとして分離することができます。
Firefox 8 ではタブが入れ替わったり、取り除かれて空いたスペースに残りのタブが詰まる様子が、タブのドラッグ中にアニメーション表示されるようになります。ドロップするとどうなるのか視覚的に分かり易く表示されるため、タブを入れ替えるつもりが誤って別ウィンドウに分離してしまうといった操作ミスをしにくくなります。
訂正: Firefox 8でこの改善が行われる予定でしたが、リグレッションの発生やアドオン互換性の問題によりバックアウトされました。問題となった点を改善の上で将来の Firefox で再び実装される予定です。
デフォルトのサイトアイコンが変更されます
サイト独自のアイコンが用意されていない場合、タブやブックマークのアイコンには空白のドキュメントのアイコンが使用されていましたが、今後はアイコンがないことを表す四角い点線が表示されるようになります。
Firefox 7 以前では上の画像のように空白ドキュメントアイコン、Firefox 8 以降は下の画像のように四角い点線になります。
使用メモリの削減
Firefox 7 では大幅な使用メモリ削減を実現しましたが、HTML5 の <video>, <audio> 利用時に使用するスレッド数を削減したり、メモリの確保方法を改善したりすることで、Firefox 8 でも引き続きメモリ使用量の削減が行われています。
Web 開発者向けの新機能・改良点
<menu> 要素でコンテキストメニューを定義できるようになります
HTML5 では Web アプリケーションのためユーザインターフェイス用の新しいタグを定義しています。Firefox 8 では他のブラウザに先駆けて <menu> 要素をサポートし、Web アプリ独自の右クリックメニューを定義できるようになりました。
insertAdjacentHTML() をサポートします
insertAdjacentHTML() は Internet Explorer 4 で最初に実装され、後に HTML5 標準に含められたメソッドで、innerHTML プロパティと同様に、HTML でマークアップされた文字列を渡して新しい要素を挿入できます。
このメソッドは innerHTML よりも柔軟かつ高速に動作します。
WebGL でクロスドメインテクスチャがサポートされます
WebGL のクロスドメインテクスチャ (他ドメインの画像をテクスチャに用いること) は、Firefox 4 では使用できていましたが、セキュリティ上の理由によりFirefox 5〜7 では無効化されていました。
Firefox 8 からは CORS (Cross-Origin Resource Sharing) を用いてテクスチャ画像としての利用を明示的に許可することで、クロスドメインテクスチャを再び使えるようになります。
Android 版の新機能・改良点
マスターパスワード機能をサポートします
Firefox では Web サイトのパスワードを端末に記憶させたり他のパソコンと同期させることができますが、Android 版でもマスターパスワードで暗号化して保存できるようになりました。
マスターパスワードを設定しておけば、Android 端末をなくしたり、不正なアプリケーションをインストールしてしまった場合でも Firefox に記憶させたパスワードが盗み取られることはないので安心です。
マスターパスワードは PC 版と同じく、Firefox 起動後に一度だけ入力を求められます。
ホーム画面に Web ページのショートカットを作成できます
Firefox で現在開いているページを開くショートカットを Android のホーム画面に作成できるようになりました。
星型アイコンのブックマークボタンをタップしてサブメニューを開き「ホーム画面に追加」ボタンをタップしてください。よく見るページはショートカットを作っておけば、Firefox ですぐに表示できます。
スマートバーで「貼り付けて移動」できるようになります
URL をコピーしてスマートバー(ロケーションバー)に貼り付ける場合、これまで貼り付けてから確定するという 2 ステップが必要でしたが、新しい「貼り付けて移動」メニューを使えば 1 ステップでページを表示できるようになります。