Firefox 7 の主な新機能を紹介します
Firefox 6 のリリース (8/16) と同時に Firefox 7 はまもなくベータチャンネルでの開発に切り替わり、6週間後 (9/27) の正式リリースまでは基本的に安定性や互換性の修正のみで新機能は追加されません。機能が確定するこのタイミングで、一足先に次期バージョン Firefox 7 の主な新機能と改良点を紹介します。
Firefox 7 の特徴
Firefox 7 では使用メモリの削減、起動時間短縮、Sync 機能の同期高速化、Canvas グラフィックスの高速化など、パフォーマンス面で重要な改善が行われます。ユーザインターフェイスについては、ロケーションバーで “http://” が省略されるようになり、URL と利用プロトコルを認識しやすくなります。
Web 開発者向けには CSS3 の text-overflow をサポートし、WebSocket の実装は最新仕様に対応して更新されます。また、ページ毎の使用メモリ量を確認できるようになり、Navigation Timing にも対応したことで、Web アプリケーションの詳細なパフォーマンス分析が可能になります。
Android 版では、ユーザ向け機能としてはテキストのコピー&ペーストに対応し、Firefox のプロセスを明示的に終了させることも可能になりました。Web 技術については、Android 版ではサポートされていなかった WebSocket にこのバージョンから対応します。
ユーザ向けの新機能・改良点
使用メモリの削減
Firefox 7 では使用メモリが Firefox 6 以前に比べて多くの場合は 20%〜30%、最大で 50% 削減されます。
これは Firefox のメモリ使用量削減プロジェクト MemShrink の成果であり、メモリ断片化が生じないよう JavaScript オブジェクトのメモリ管理方法を変更したことや、時間ベースでガーベジコレクションが確実に行われるよう修正したことなどによるものです。
メモリ削減量についての詳細や測定結果については “Firefox 7 is lean and fast” を参照してください。
Firefox 6 と Firefox 7 の使用メモリ比較
起動時間の短縮
Windows と Linux では、Firefox の動作に必要なライブラリを起動時に先読みさせ、起動時間を短縮する処理が実装されました。
Firefox を利用するディスク、メモリや OS によって効果は異なりますが、Windows XP の低パフォーマンス PC などでは明確な効果が見られることが多く、起動時間が最大 50% 短縮されます。
Instant Sync (同期の高速化)
Firefox 4 からは他のパソコンや Android 端末の Firefox とユーザデータを自動同期する Firefox Sync 機能が標準搭載されています。
Firefox 7 からは新しいブックマークやパスワードが保存された直後に同期されるようになり、ユーザデータの同期が以前より確実かつ高速に行われるようになります。
Canvas グラフィックス高速化
Firefox 4 からは GPU を活用した高速化が導入されていますが、Firefox が採用するマルチ OS 対応 API Cairo では高速化に限界があります。そのため更に高速化可能で Windows 以外にも適用可能な新しい API を定義・実装する Azure プロジェクトが進められています。
Firefox 7 ではこのプロジェクト最初の成果として、Windows 版での HTML5 Canvas 処理に限定して Azure API を導入しました。Web アプリケーションの処理内容によって異なりますが、これにより数倍以上の高速化が実現されています。
ロケーションバーが見やすくなります
Firefox 6 ではドメイン名の強調表示などによりロケーションバーが見やすくなりましたが、Firefox 7 ではさらに、標準の HTTP 接続時には URL の “http://” が省略されるようになります。ドメインのルートにアクセスする場合には末尾の “/” も省略されます。これにより URL の表示に必要な画面サイズを削減すると共に、HTTPS による暗号化通信や、他のプロトコルを使用している場合に認識しやすくなります。
ただし、HTTP 接続時であってもドメイン名が “ftp.” で始まる場合には誤認しないよう、HTTP 接続であっても例外的に “http://” が表示されます。
Web 開発者向けの新機能・改良点
CSS3 text-overflow: ellipsis
固定サイズのブロック中のテキストが長すぎる場合に、単純に領域サイズに合わせて切り取るのではなく、省略符号 “…” を表示させることができるようになります。
WebSocket の実装を最新仕様に対応
Firefox 6 では仕様上のセキュリティ問題が修正済みの WebSocket (ietf-07) がサポートされましたが、Firefox 7 ではその後の仕様更新 (ietf-10) に対応しています。
ページ毎の使用メモリ確認
Firefox 7 ではブラウザの使用メモリを確認できる about:memory ページが改善され、開いているページ毎に使用しているメモリ量が確認できるようになります。
Navigation Timing サポート
Firefox 7 では Navigation Timing をサポートし、Web ページのパフォーマンスをより詳細に分析可能になりました。
Web コンソールの強化
Firefox 7 では Web コンソール機能も強化されます。Web コンソールの起動前に呼び出した場合でも console.log() のログメッセージが記録されるようになりました。
Android 版の新機能・改良点
テキストのコピー&ペースト
Firefox 7 からは Web ページ中のテキストを範囲選択し、文字列をコピー&ペーストできるようになります。
Firefox プロセスの終了
Android のアプリケーションは通常、他のアプリケーションでメモリが必要となったとき、OS によって自動的に終了させられます。そのため普通はアプリケーション自身を終了させる機能は提供されません。
アプリケーションの終了タイミングを自身で管理したい上級ユーザのため、Firefox 7 には終了メニューが追加されました。
WebSocket に対応
Firefox 7 からはモバイル版の Firefox でも WebSocket が使えるようになります。もちろん PC 同様に最新仕様の WebSocket に対応しています。