AMO におけるアドオンの審査とは

[これは Mozilla Add-ons Blog の記事 An Overview of the AMO Review Process の翻訳です。Mozilla Japan が運営する日本のユーザ向けアドオン紹介サイト AMJ (addons.mozilla.jp) でアドオンを公開したい場合も、AMO に登録し審査を受ける必要があります。AMO の事前審査もしくは本審査を通った日本語化済みのアドオンは、AMJ にも半自動的に掲載されます]

約 1 年前、筆者 [Jorge Villalobos] は アドオンの審査過程について詳しく説明した長文記事 を投稿しました。先日新しい開発者ツールを公開してから数週間が経過し、新しい審査過程がどのような流れになっているか説明する新たな記事が必要となりました。今回は短めに解説しようと思います。

なお、Personas については審査手順が異なるため、この記事では扱いません。

アドオンの登録

アドオンを作成し AMO (addons.mozilla.org) で公開したい場合は、まず AMO の Developer Hub を訪れてください。ここでは AMO のアカウントが必要となります。また、少し時間を取って AMO の 公開ポリシー に目を通してください。公開申請を審査し、サイトに掲載すべきかどうかを判断する際の基準を説明した 詳細なガイド もあります。

アドオンを登録する際、本審査 (Full Review) と事前審査 (Preliminary Review) のいずれかの審査形式を選ぶ必要があります。

本審査では、あなたのアドオンが安全か、ユーザのプライバシーと選択肢を尊重しているか、他のアドオンと競合したり Firefox の既存の機能に不具合を引き起こしたりしないか、使いやすいか、一般のユーザに公開する価値があるか、などを AMO の審査員が確認します。これは一見するととても敷居が高いように受け取られますが、実際にはそんなことありません。AMO の目標は、ユーザに安心と便利な選択肢を提供しつつ、できるだけ多くのアドオンを公開することです。本審査を通ったアドオンは「公開アドオン」としてサイトに掲載され、注目のアドオン として紹介されるチャンスを得たり、寄付の受付が可能になったりして、一般的にはより多くの注目とダウンロードを集めます。

事前審査では、アドオンの安全性だけが基準となります。審査員は、ユーザのシステムやデータを危険にさらす問題がないかを確認します。事前審査を通ったアドオンは「実験的アドオン」としてサイトに掲載されます。注目のアドオンにはなれませんし、検索順位も低くなります。自動更新は「公開アドオン」と同様に有効となります。

それでは、なぜ誰もが事前審査を選ぶのでしょうか? これまで多くの作者が、あまり注目を集めず、本審査のような精査を受けない「中間状態」で、アドオンを AMO に掲載したいというニーズを訴えてきました。また事前審査は、従来の審査過程で設けていた「サンドボックス」の代わりとなるものです。アドオンが本審査を通らなかった場合も、基本的なセキュリティチェックに問題がないかどうか、事前審査を受ける資格があります。これにより、アドオンの公開とインストール、更新が、最低限可能となります。

事前審査も通らなかったアドオンは安全でないと見なされ、AMO には一切掲載されません。

アドオンの審査が完了すると、審査結果がメールで通知されます。メールには、審査員が気付いた点や修正すべき問題点についての説明も書かれています。AMO に登録されているアドレスが現在利用可能なものかどうかを確認し、頻繁にメールチェックを行うようにしましょう。審査結果のメールが迷惑メールフォルダに入っていたという話も時々聞かれますので、そろそろメールが届く頃だと思ったら、迷惑メールになっていないかも確認してください。

事前審査から本審査へ

あなたのアドオンが事前審査を通った場合は、10 日間の待ち時間の後、本審査を申請することができます。この 10 日間は、最後に事前審査を通ってからの時間です。待ち時間が過ぎると、Developer Hub の Status & Versions ページから本審査の申請が可能となります。

アドオンの更新

アドオンの新バージョンを作成したときは、Developer Hub の Status & Versions のページからアップロードできます。新バージョンはすべて自動的に審査対象となり、前回の審査結果によって、本審査もしくは事前審査を受けることとなります。新バージョンをアップロードする前に初回に申請したバージョンがまだ審査されていない場合は、代わりに新バージョンが審査対象となります。

既に本審査を通っているアドオンの新バージョンが本審査を通らなかった場合も、安全性に問題がなければ事前審査を通過できます。そうした場合、ユーザに対する新バージョンの更新通知は行われませんが、アドオンの「すべてのバージョン」のページには掲載され、インストール可能となります。

新バージョンの審査は迅速に行われますが (通常は 5 日以内)、できる限り早く配布しなければならない場合もあるでしょう。よくある理由としては、セキュリティ問題の修正や、依存している外部サイトの仕様変更などです。そうした場合は、メールもしくは IRC で直接 AMO エディタ と連絡を取って、状況を説明してください。通常は数時間以内に対応できます。[日本語で緊急に連絡を取りたい場合は addons あぁっと mozilla.jp までメールをお送りください]

審査の待ち時間

すべての審査申請は 3 つの待ち行列のいずれかに入ります。ひとつは一般公開のための本審査、ひとつは本審査済みアドオンの更新、そしてもうひとつは事前審査 (初回と更新の両方) です。

これらの行列の待ち時間は時期によって変わってきますが、AMO では、すべての更新と事前審査の申請を数日以内に、また本審査の申請を 10 日以内に処理するという目標を立てています。興味のある方は、筆者が毎週 Add-ons Forum に投稿している審査状況報告をご覧ください。

今のところ、本審査の申請を除けば、滞りなく処理が行われています。新しい審査過程への移行に伴って、非常に多くの申請が寄せられています。何千もの古いアドオンがこれまで一度も審査を受けておらず、今後も AMO への掲載を続けるには審査を通ることが条件となったためです。現在の長い待ち行列は数週間以内に通常の状態に戻ると期待しています。

AMO エディタ

Mozilla のアドオン審査員は AMO エディタ と呼ばれており、その多くはボランティアです。経験の長いアドオン開発者が忙しい時間を割いて、便利で安全なアドオンを AMO に掲載すべく協力してくれています。アドオンの審査は細心の注意を必要とする一方、しばしば単調な作業となりますが、エディタの多くが週に数時間を費やし、無償で貢献してくれているのです。

AMO におけるアドオンの審査は至難の業です。エディタチームは先月だけで 2,400 件以上の審査を行いました。これは Firefox 4 のリリースと審査過程の変更による例外的な数字ですが、通常でも月平均 1,000 件前後は審査が行われています。毎週数百の申請が殺到するため、審査対象のアドオンは途切れることがありません。ですから、もし AMO のエディタと会ったら、抱き締めるなり、ビールをおごるなりしてあげてください :-)

いつものように、[元の英文記事で] 質問やコメントは歓迎します。