AMO の新しい開発者ツールとレビュープロセス
日曜日の勉強会 で LT をさせていただきましたが、先週 AMO で新しい開発者ツールが公開され、レビュープロセスが変更されました。ここで Mozilla Add-ons Blog の記事 の内容も含めて概要を説明したいと思います。
新しい開発者ツール
- 完全に新しい管理画面で、互換性情報 (対応バージョン) の更新など、よく使う機能を簡単に使えるようになりました。
- Firefox 4 で刷新されたアドオンマネージャの仕様に合わせて、64×64 px の大きいアイコンを追加できるようになりました。
- アドオンの個別ページに独自 URL を指定できるようになりました。(例)
- アドオンの検証時間が短縮されました。また、SQLite データベースなどを含んだ大きな XPI ファイルもアップロードできるようになりました。
レビュープロセスの変更
アドオンは、アップロードするとまず「サンドボックス」に登録されます。サンドボックス内のアドオンは、作者が公開申請を行い、AMO のエディタが審査を行って承認されれば一般に公開される、という仕組みです。
ただ実際のところ、多くのアドオンが審査を受けずにサンドボックスに留まったままとなっていました。また、それらは一般公開されているアドオンと同じように検索結果などに表示され、誰でも簡単にインストールできる状態でした。(日本のユーザ向けアドオン紹介サイト AMJ には、サンドボックス内のアドオンは掲載していません)
AMO では、安全なアドオンをユーザに提供しつつ、作者が簡単に最新版を配布してユーザからのフィードバックを受けられるよう、このプロセスを改善するための議論 が昨年行われました。その結果考え出され、今回の変更で導入されたのが 事前審査 というコンセプトです。
事前審査 (Preliminary Review) では、セキュリティ問題についてだけ、最低限の確認が行われます。機能不具合や公開ポリシー違反の有無については、これまで通り本審査 (Full Review) で確認されます。事前審査をパスしたアドオンは、次のような扱いになります。
- 検索結果やカテゴリ別一覧に表示されます。
- AMJ にも掲載され、日本のユーザに使ってもらいやすくなります。(日本語にローカライズされている場合のみ)
- サンドボックス内のアドオンと異なり、自動更新が有効になります。インストールしたユーザは更新通知を受けられ、アドオンマネージャの中で最新版へ更新できます。
今後、サンドボックス内のアドオンは、次のような扱いになります。
- 検索結果やカテゴリ別一覧には一切表示されません。
- まだ開発途上だけれども広く使ってもらいたい場合は事前審査を申請できます。一般のユーザに使ってもらえる品質になったと思ったら、いつでも本審査を申請できます。
- 個別ページへはアクセスできますので、作者は審査を待つ間、直リンクをブログに貼ったり Twitter でつぶやいたりすることが可能です。
また、これまで「自主配布」という形で、作者自身のサイトで配布されているアドオンへのリンクを掲載することが可能でしたが、それらはレビューを受けておらず、同じく安全なアドオンを提供するという趣旨に反することから、今回の変更で廃止されました。
サンドボックス内のアドオンの作者には今日あたりメールが届いているかと思いますが、1 か月以内に事前審査か本審査を申請しない場合、そのアドオンは AMO から削除されますので、早めに申請を行いましょう。開発者センター へログインして、「Pending a review choice」と書かれたリンクをクリックし、「Request Preliminary Review」もしくは「Request Full Review」を選ぶだけです。
審査で確認される要件などの詳細は、更新された レビュープロセス のページをご覧ください。
Firefox 4 のリリースも迫っていることから、審査待ちのアドオンが増えており、審査完了までに多少時間を要する場合があります。今週火曜日の時点では、事前審査が 5 日、本審査が 10 日、更新が 5 日程度の待ち時間だそうです。辛抱強く待ってみてください。
おまけ
日本の開発者が AMO に登録しているアドオンは、私が把握している限り、今日までに 500 個を超えました。AMO のユーザプロフィールには地域や言語が載っていないので、手作業で確認した数字です。他言語の状況は調べようもないので、これが多いのか少ないかは分かりませんが、ひとつの大台に乗りました。これからも、どんな便利なアドオンが公開されるか、楽しみにしています